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時刻系の話

 時刻系は、時間が進んでいく早さ、もしくは時刻、又はその両方の基準である。最初のうちは、時刻系は地球の自転周期に基づいていたが、観測技術の発達により地球が自転する速度が一定ではないこと、太陽のまわりを回る地球の速度が一定ではないこと、さらには重力ポテンシャルの影響まで計測できるようになるに及んで様々な時刻系が定義されている。天文計算で使用する時刻系を紹介していこう。

 

【国際原子時(TAI)】

 様々な時刻基準の計算の基となるもので、世界中の数多くの原子時計の入力を合成して作られている。

 

【協定世界時(UTC)】

 日常節活で使用されている時刻系であり、国際原子時(TAI)とは整数秒だけずれている。なお、UT1との差が0.9秒以内になるように必要に応じて閏秒という1秒が導入される。

 

【地球時(TT)】

 地球のジオイド表面上(地球表面)での座標時である。国際原子時及び協定世界時からの換算は下式のとおり。

   TT = TAI + 32.184秒

   UTC = TT + ΔT

    ※ΔTはTTとUT1との差であるが、天文計算では便宜的にTTとUTCとの差として計算することが多い。

 

【地心座標時(TCG)】

 地球の重心に空間座標の原点を持つ座標時である。TCGはTTと下式で換算できる。(IAU 1991 RECOMMENDATION Ⅲ)

   JDTCG = JDTT + LG × (JDTT - 2443144.5)

    ※LG = 6.969290134×10-10

 

【太陽系座標時(TCB)】

 太陽系重心に空間座標の原点を持つ座標時である。TCBはTTと歩度や他の周期項が異なっている。周期項を無視し、長い期間に割ったって平均するとTCBはTTと下式で換算できる。(IAU 1991 RECOMMENDATION Ⅲ)

   JDTCB = JDTT + LB × (JDTT - 2443144.5)

    ※LB = 1.55051976772×10-8

 

【太陽系力学時(TDB)】

 TDBはTTと同様の時刻系であるが、原点を太陽系重心に移すために相対論的補正を含んでおり、TTに対して周期的項のみ異なっている。(IAU 2006 Resolution B3、"Re-definition of Barycentric Dynamical Time, TDB)

   JDTDB = JDTCB - LB × (JDTCB - T0) + TDB0 ÷ 86400

    ※LB = 1.550519768×10-8

    ※T0 = 2443144.5003725

    ※TDB0 = -6.55×10-5

 

【ユリウス日】

 紀元前4713年1月1日のGMTでの正午から数えた経過日数である。

 

【修正ユリウス日】

 ユリウス日から修正ユリウス日への換算は、下式で行う。

   MJD = JD - 2400000.5